『冤罪被害者』のブログ 

冤罪被害者の闘いを綴る

030上告趣意書②

警察は偽証をしないという先入観

 それにしても、裁判所は、警察が偽証をしないという先入観に囚われすぎではないか。

 捜査官は、誤認逮捕をすれば失態であるから、当然公務員として責任は免れない。公判で自己保身に走る動機は大いにある。

 本件では、N警察官は、捜査段階で「現認できなかった」旨の捜査報告書を作成しているのにも関わらず、突如として公判で「手が当たったり離れたりしているのを見た」と供述を変遷させた。

 N警察官には、供述を変遷させなければならない動機が十分にある。

 すなわち、N警察官は、Aから被害に遭ったとされる証拠画像を受理し、それを証拠に通常逮捕に踏み切った。

 しかし、取り調べ段階で、その画像に映る人物が別人であることが判明してしまったのだ。

 N警察官は、誤った証拠に基づいて、通常逮捕を行ってしまったのである。

 N警察官は、これを隠蔽するために、同行警乗から1か月後に「目撃状況再現」なるものを行い、証拠を捏造した。

 以下の時系列を見れば、京都府警の捜査の不自然さは際立っている。

本件の捜査の客観的経緯は、以下のとおりである。

①6月30日、Aの両親が警察に被害申告をした(捜査の端緒)。

②8月下旬まで複数回、被告人の通勤を尾行して行動確認を実施した。

③9月20日及び21日、現行犯逮捕を目的として同行警乗を実施したが、現行犯逮捕をしなかった。

 両日について、A及び同行警乗した警察官の供述調書や実況見分調書等を作成しなかった。

④9月25日、判事第1の事実(6月事件)につき被告人を通常逮捕した。被告人が一貫して容疑を否認した。

⑤9月29日、判示第2,3の事実につきAの供述調書を作成した。

⑥10月24日 、Aが判示第2の事実の証拠として提出した本件写真(一審弁1)に写る人物が被告人とは別人であることが判明した。

⑦10月30日、警察官による「目撃状況再現」を実施した。

Aの自作自演を見抜けない警察、検察、そして常識から乖離する裁判所の判断

 この写真が別人であることはA自身認めている。

 しかし、裁判所は、このAの行為を自作自演と事実認定しない。

 上告趣意書には、以下のように記している。

(1) Aは別人の写真を捜査機関に提出し、被害を受けたと申告していたこと
ア 本件写真について争いのない点
 Aは、証拠を保全するために本件写真(一審弁1)を撮影したと主張している。本件写真はT駅以降に撮影されたものである(甲29、甲7照)。
 本件写真に写る白い半袖シャツの人物が被告人とは別人であることについては、現在では争いがない。
控訴審判決の明らかな誤り・その1
控訴審判決は、「弁護人は、Aが事件性を作出するために上記写真を撮影した旨主張するが、当該写真及びその写真についてのAの説明を見ても、Aの説明による「犯人」がAの股間部分を触っているようには解されないのであって、Aが事件性を作出するために撮影し、警察に提出したとは考え難いというべきである」旨説示する(控訴審判決15頁下から5行目以下)。
 しかし、控訴審判決の上記説示は、明らかに証拠及び裁判所に顕著な事実(身柄関係書類の記載、添付資料6)に反しており、失当である。
・ 本件写真にA自身が記入した説明には、Aが「犯人」とする人物の右手が接触しているように見える部分に「自分の股間の部分です」と明確に載されている(一審弁1)。
 このようにAは、警察に対して、本件写真が、①「犯人の手が自分の股間を触っている場面である」と説明し、また、②「自分が痴漢にあっている場面である」と説明していたことは、証拠上明らかである。
 したがって、控訴審判決の「Aが事件性を作出するために撮影し、警察に提出したとは考え難い」旨の事実認定は、明らかに間違っている。
 むしろ、実際には「犯人とされる者の手がAの股間に触れていない」写真を、「痴漢されている場面」として提出した事実は、「Aが事件性を作出した」ことの動かぬ証拠と認めなければならない。
・ ところで、控訴審判決の上記説示は、Aから本件写真の提出を受けた警察が、本件写真を現に痴漢が行われている場面を撮影した証拠として逮捕状に添付した事実、及びこれらの疎明資料に基づいて裁判官が逮捕状を発付した事実にも反するものである。
 すなわち、本件訴訟記録に綴られている判示第2及び第3の事実について裁判官が発付した平成30年10月15日付け逮捕状及び逮捕状請求書(本書添付資料6)に明記されているとおり、「被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由」として、Aの同年9月29日付け供述調書(「(1) 司法警察員が録取した被害者の供述調書」)及び本件写真(「(2) 被害者から提出を受けた画像の記録」)が提出されている。

 そして、同供述調書には「この写真に写っている右側の白い半袖シャツを着ているのが犯人の男で、犯人の右手が自分の股間の部分を上から押し込むようにして触っている時のものです。」(控訴審弁3の10頁)と明記されている。
 以上の客観的事実から明らかなことは、少なくとも判示第2及び第3の事実について逮捕状が発付された時点では、警察及び裁判官は、「犯人が自分の股間を触っている瞬間の写真である」というAの説明を信用し、本件写真は現に痴漢が行われている写真であるとして、逮捕状請求及び逮捕状発付の証拠として用いたという事実である。
 要するに、本件写真(一審弁1)及びその説明をするA供述(控訴審弁3)並びに逮捕状が発付された事実(本書添付資料6)からは、警察及び裁判官が、Aが自作自演した痴漢被害の写真及びA供述に、まんまと騙されたことが判る。
 しかるに控訴審判決は、「当該写真及びその写真についてのAの説明を見ても、Aの説明による「犯人」がAの股間部分を触っているようには解されないのであって、Aが事件性を作出するために撮影し、警察に提出したとは考え難いというべきである」(15頁)などと判示しているのであって、明らかな事実誤認である。
・ なお、警察及び検察が、本件写真に写っている白い半袖シャツの人物が被告人とは別人であること、同人物はロングシートに座った状態であること、同人物の手がAの股間に当たっていないこと等を認識したのは、10月24日の検察官取調べにおいて被告人からその旨の指摘を受けたときである(本書添付資料7の3,4頁)。同日の検察官取調べにおいて、被告人は、本件写真(一審弁1)に写る人物が座っている状態であることを一見して指摘している。日常的に本件電車に乗っている者であるならば、本件写真に写る人物が立っているか座っているか即座に判断できるのであり、「立っているか座っているか直ちに判別できない」旨を判示してAの信用性を救済した控訴審判決(15頁16行目以下)は失当である。
控訴審判決の誤り・その2
・A供述は、以下のとおり、客観証拠である本件写真と矛盾する。客観証拠との矛盾であるから、少なくとも矛盾する部分はA供述が真実に反していると認めざるを得ない。
 A供述の客観証拠との矛盾(真実に反する供述)は、ありもしない被害を自作自演したことの結果として生じたものと考えるのが合理的である。
 ところが、控訴審判決の説示からは、かかる視点から検討した形跡まったく窺われない。「被害者の供述は信用できる」「被害者は嘘をつかない」という先入観にとらわれて、供述の信用性を慎重に吟味しようとする姿勢が欠如しているから、控訴審は真実を見抜けなかったのである。
・ Aは、判示第2の事実の被害につき、「右手を股間に押し付けるようにして痴漢されました」と証言した(A26頁)。
 Aは、「右手を股間に押し付けるようにして痴漢されました」と証言しているのであるから、Aが携帯電話を下に向け画像を撮影した場合、被害を受けている場面が映り込むと考えるのが経験則に適っている。また、A証言によればT駅からJ駅まで被告人の手が股間に当たっていたというのだから、Aが携帯電話を下に向けて画像を撮影した場合には、被告人の手が写り込まないことは考え難い。
 しかるに、本件写真はそのようなものとなっていない。Aが被害にあっている場面が写っていないだけでなく、被告人の右手すら写っていないのである。A証言は本件写真と根本的に矛盾している。
 客観証拠(本件写真)との矛盾が明らかになった以上、A証言の信用性評価は、慎重の上にも慎重にする必要がある。そして、本件写真との矛盾という事実から当然に導かれる「少なくともT駅からJ駅までの間ずっと股間を触られていた旨のA証言は信用できない」という結論に思いが至れば、A証言を安易に信用してはならないという発想が生まれるはずだし、本件痴漢被害がAによる自作自演の可能性があるという発想が生まれるはずである。
 ところが控訴審判決には、そのような姿勢がまったく窺われない。これでは真実を見抜くことなど不可能である。
・ T駅以降の位置関係につき、Aは、要旨、「東側に移動し、椅子の端のところで(進行方向を北とした場合)西側を向いていました」、「犯人は右前にいました」と証言している(A25、26頁)。
 しかしながら、本件写真に記載されたAの説明を前提にすると、Aは、「犯人」が座る東側ロングシート前に東側を向いて立っていたことになる。
 Aの「(T駅到着後)西側を向いて立っていました」との証言は、客観証拠(本件写真)と根本的に矛盾している。

 捜査段階で、この写真が別人であるこが発覚した時点で、慎重な捜査をすればいいだけの話である。しかし、警察や検察、裁判所に真実を追求する姿勢は窺えない。

 その他証拠を検討しても、Aの自作自演疑うべき事情は多数存在している。

 

 最高裁判所には、被告人を救済できる最後の砦として責任を果たしていただきたい。

029上告趣意書①

無実を示す証拠採用を却下する裁判所

 先日、上告趣意書を最高裁判所に提出した。

 大阪高裁の三浦透裁判長は、以下のような公正でない裁判を平気で行っている。

 法令違反を指摘した箇所から一部引用して取り上げる。

 警察官Nは、10月25日付検察官調書(一審弁28)において、9月21日の目撃状況につき、「(被告人が)Aの股間に右手を押し当てていたかどうかを直接みることができませんでした」と供述している。他方、Nは、公判において、「被告人の手がAの股間部分に位置し、当たったり離れたりしていた」と証言した。

 控訴審判決は、この点を変遷とする弁護人の指摘につき、「上記検察官調書の記載は、被告人がAの股間に右手を押し当てていたかどうかについて言及したものではあるが、手がAの股間に当たっていたかどうかを目撃したかについては、直接言及していないと見る余地のある表現である」とし、「『N証言自体に曖昧さがあるとした上で、・・・N証言の信用性の根幹部分の信用性を損なうものであるとはいえないとす《ママ》原判決』に誤りがあるとはいえない」旨説示する(控訴審判決24頁最下行以下)。

 かかる控訴審判決には、日本語の基礎的な読解力に欠けると言わざるを得ない。なぜなら、検察官調書には次のとおり記載されているからである。

 「私は、その様子を被疑者から見て左斜め後ろから見ていました。そのため、被疑者がAの股間に右手を押し当てていたかどうかを直接見ることはできませんでしたが、先ほどお話ししたようにこの日は車内がぎゅうぎゅう詰めの状態で他の場所に移動することもままならなかったため、被疑者の痴漢を現認できるようにすることができない状態でした。」(一審弁28・9,10頁)

 日本語の基礎的な読解力のある者に、「Nは被疑者の右手を現認できたか」と尋ねれば、「できなかった」と答える。N警察官と調書を作成したF検察官に基礎的な日本語の能力が備わっていないとは考えられないから、少なくともNは上記検面調書の作成時には、「被告人の右手を現認できなかった」と供述していたことは明らかである。

 したがって、Nの供述が、「被告人の右手を現認できたか否か」という核心部分で変遷していることは明白であって、これを上記のように趣旨を曲解してN証言の信用性を救済した控訴審判決は失当である。

 そのことはひとまず措くとしても、仮に控訴審がNの検察官調書の記載は多義的に解釈が可能であり、検察官調書だけではNが捜査段階で「手がAの股間に当たっていたかどうかを目撃したかについては、直接言及していないと見る余地」が残ると考えたのであれば、Nが内容をチェックした上で押印した捜査報告書(控訴審弁7,8)を採用して取り調べれば、Nの捜査段階での供述の意味内容を明確にし、適切な事実認定ができたのである。すなわち、Nを含む警察官らが事件から4,5日後の段階では「現認できなかった」と供述していたことが明らかになったのである。

 まず、「被疑者の通勤時の行動確認結果(9月20日)について」と題する捜査報告書(控訴審弁7)及び「被疑者の通勤時の行動確認結果(9月21日)について」と題する捜査報告書(控訴審弁8)は、Y警察官が作成したものであるが、捜査責任者であるNの押印があるところ、Nはその内容をチェックしたことを認めている(N42頁)。そして、同捜査報告書には同行警乗した警察官が被告人とAを注視したが、「実施結果」として、「手が被迷惑者に触れているか否かの確認はできなかった」(控訴審弁7・4枚目)、「手が被迷惑者に触れているか否かは判然としなかった」(控訴審弁8・4枚目)と明記されている。

 つまり、控訴審が上記捜査報告書を取り調べていれば、上記供述調書のN供述の趣旨は、「手が股間に触れたのは現認していない」という趣旨であることが明らかであり、したがって、「被告人の手がAの股間部分に位置し、当たったり離れたりしていた」旨のN証言が、上記供述調書と矛盾することが容易に判断できたのである。

 「手が股間に当たったのを現認したか否か」という核心部分についての供述の変遷は、N証言の信用性の根幹を揺るがすものであるのに、控訴審判決は、上記捜査報告書(控訴審弁7,8)の取調べ請求を却下したうえで、「(弁護人の主張は)採用された証拠に基づかない主張である」(控訴審判決26頁)などと説示して、弁護人の主張を排斥し、もってN証言の信用性を救済した。

 このような裁判が、いまなお日本で平然と行われているのである。

 無実の証拠を採用せず、不合理な理由を適当に加え有罪認定につき進む。

 まさに警察や検察に忖度した刑事裁判の典型である。

 

 すべての裁判官がそうであるとは言わないが、いま私の身に起こっていることは、インターネットを見る限り、多くの冤罪被害者が経験していることである。

 また、検察が示す理念には、「無実の者を罰し,あるいは,真犯人を逃して処罰を免れさせることにならないよう,知力を尽くして,事案の真相解明に取り組む」「被疑者・被告人等の主張に耳を傾け,積極・消極を問わず十分な証拠の収集・把 握に努め,冷静かつ多角的にその評価を行う」と明記されている。

 

 日本の警察や検察が目を覚まし、裁判所がその不正を正す役割を果たせる日はくるのだろうか。

028上告趣意書を提出いたしました

上告趣意書提出

 2020年5月13日、上告趣意書を最高裁判所第一小法廷に提出いたしました。今後、本ブログ上で上告趣意の内容を掲載する予定です。

 

 高裁裁判官は、被害者証言調書の最重要証言を見逃し(もしくはろくに確認せず)誤った前提に立って判示をしたり、「現認できなかった」旨の記載がある警察の捜査報告書を証拠採用せず、警察官の「手が当たったり離れたりするのを見た」旨の公判証言を信用できると判示したりするなど、とうてい公正とは言い難い判決をくだしています。

 今回の趣意書では、健全な社会通念に照らして高裁判決が極めて不合理な点を具体的に指摘することができたと思います。今後のブログをぜひご覧ください。

 

請願署名提出

 皆さんのご支援のもと集まりました署名は、第一次集計段階で4071筆、電子署名227筆となりました。

 想像より遥かに多い数であることに驚くとともに、皆様の大きな力を肌で感じています。

 私の声と皆様の声が、当然に最高裁判所に届くことを願っています。

 本当にありがとうございました。

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請願署名

 

謝罪しない滋賀県警

滋賀県警という組織

 先日、湖東記念病院再審で漸く西山さんの無罪が確定した。

 検察が上訴権を放棄し、無駄に2週間待つことなく無罪が確定した。

 

 しかし滋賀県警の対応には驚かされるばかりだ。

 あまりにも驚いたので記事にしておく。

 

 以下、「毎日新聞」(4月18日付配信)より引用する。

 滋賀県東近江市の湖東記念病院の入院患者死亡を巡って県警に逮捕され、殺人罪で服役した元看護助手の西山美香さん(40)が再審(やり直しの裁判)で無罪判決を受けて確定したことについて、県警は滝沢依子本部長が出席する17日の定例記者会見で質問を受け付けないと記者クラブに通告した。

 本部長の定例会見は、毎日新聞を含む新聞やテレビなど報道機関15社が加盟する「県警記者クラブ」の主催で毎月1回開かれ、刑事部長らも出席する。無罪確定後、会見は17日が初めて。クラブ側は7日、大津地裁が3月31日の再審判決で、取り調べをした刑事が西山さんの恋愛感情を利用して「自白」を誘導したり、飲食を提供したりするなど捜査手法に問題があったと認定したことに対する見解や、西山さんへの謝罪、再発防止策などに関する質問を事前に伝えた。

 これに対し、県警広報官室は「個別案件は答えられない」と質問案を拒否。加盟社の意見をとりまとめる幹事社が理由を文書で答えるよう求めたが、県警は4月16日、「文書にする必要がない」として回答を拒んだ。

 再審判決は、西山さんの自白の任意性を否定し「患者が殺害されたという事件性すら証明されていない」と指摘。大西直樹裁判長は説諭で「警察、検察、弁護士、裁判官を含め全ての関係者が自分のこととして、西山さんの(逮捕からの)15年を決して無駄にしてはならない」と述べていた。

 県警は当日、刑事企画課幹部が報道陣の取材に「無罪判決については真摯(しんし)に受け止め、今後の捜査に生かしてまいりたい」とのコメントを繰り返すにとどまった。

 弁護団長を務めた井戸謙一弁護士は「権威ある裁判所から具体的に捜査の不当性を指摘された。どのように改善していくのかを県民に説明するのは警察の義務で、極めて不誠実な対応だ」と話した。【菅健吾】

  謝罪しないどころか、完全に逃げている。

 恐らく、今後民事裁判で賠償が争われるから、「謝罪」できないのであろう。

 この滋賀県警、昨年は、大学生を誤認逮捕(4回再逮捕)し、人生を狂わせている。

 

 反省をしない組織であるから、同じ失敗が繰り返される。

 なぜそこに気づかないのか疑問である。

 

 裁判長が説諭で厳しい批判を述べているが、まったく届いていないのだろう。

 この有様、もっと報道されて然るべきではないか??

 

判決文に記された滋賀県警の捜査

 余談であるが、判決文が裁判例に掲載されていたので、引用しておく。

 これだけの事実がありながら、いままで西山さんの「自白」を信用し、無罪を出さなかった裁判官にも唖然とする。

 本件における防御権侵害や捜査手続の不当・不適切性は,これらを主たる理由として任意性を否定されたこれまでの事案ほどに深刻なものとまではいえないとしても,被告人の特性・恋愛感情やこれに乗じて被告人に対する強い影響力を独占してその供述をコントロールしようとするF警察官の強固な意図と相まって,虚偽供述を誘発するおそれがあるものであったというべきであり,かつ,現に明白な虚偽供述を含む本件自白供述を誘発した疑いが強いというべきである。防御権侵害及び捜査手続の不当・不適切性の有無,程度等の捜査機関側の事情に加え,知的障害・愛着障害等の特性や恋愛感情等,供述者たる被告人側の事情をも含む,上記供述がなされた経緯,過程に関わる諸事情を総合すると,本件自白供述は,実質的にみて,自発的になされたものとはいえず,上記防御権侵害や捜査手続の不当・不適切性によって誘発された疑いが強いというべきであるから,「任意にされたものでない疑」があるというべきである。 なお,F警察官に対する恋愛感情は,少なくとも初期の段階では被告人の自発的な感情であり,Aを殺した旨を初めて述べた時点では,その供述が外形的にも実質的にも自発的になされたものであることは前記のとおりであって,恋愛感情の存在は,それ自体が直ちに任意性を疑わせる事情になるものではない。しかし,F警察官は,被告人が,弁護人との接見後,否認に転じると,被告人の恋愛感情や迎合的な供述態度を熟知しつつ,これに乗じて被告人の供述をコントロールしようとの意図の下で,不当・不適切な手段を用いて,恋愛感情を増進させつつ,他方で弁護人への不信感を醸成させ,被告人に対する影響力を独占し,その供述を誘導,コントロールしようとしたものであって,そのような状況の下でなされた供述は,もはや実質的には,自発的に行われたものとはいえず,不当・不適切な捜査等によって誘発されたものと評価するのが相当であるから,前記認定を左右しない。 

 なお、ここでいう不適切な捜査は、以下のとおりである。

 F警察官が,遅くとも平成16年6月下旬頃までには,被告人の迎合的な態度や自身に対する恋愛感情を認識していたこと,接見等禁止中で弁護人としか接見できない被告人に対し,接見毎にその内容を聞き出した上,弁護人に対する不信感を煽るような言動を繰り返すなどしたこと,その一方で,事件に関する供述以外に,被告人の自身に対する恋愛感情を記載した供述調書を多数作成したり,取調べ中,毎日のように,被告人にジュースを差し入れて飲ませたり,取調べにおいて,本来,立ち会わせるべき女性警察官を取調べ室外に待機させて,被告人と2人きりの状態にし,被告人が自身の手を触ってくるのを黙認したりしたこと等の事情を併せ考慮すれば,F警察官が,逮捕後の取調べを通じて,被告人の特性や恋愛感情に乗じて,被告人に対する強い影響力を独占し,その供述をコントロールして,自白供述を維持させようとする意図を有していたことが推認される。  さらに,F警察官が,起訴後も,被告人に対して幾度も取調べを行ったこと,弁護人や両親との接見を重ね,公判期日において否認をしようと考えていることを知るや,被告人に指示して,公判でも事実を認める旨の検察官宛の手紙等を複数作成させた上,確定第1審の第1回公判期日を傍聴したことなどの本件自白供述以降の事情は,F警察官の被告人に対する影響力を独占し,その供述をコントロールしようとする意図の存在を裏付け,かつ,それが強固なものであったことを示すものといえる。

  このF警察官は、懲戒処分されるべきではないのか。

 少なくとも、捜査にかかる内規違反を犯しているではないか??

 

 世の中コロナの報道で大変であるが、絶対に闇に葬ってはならないと思う。

 

湖東記念病院事件再審無罪判決

問われるべきは捜査のあり方、裁判のあり方、刑事司法のあり方

 再審無罪判決を下した大西直樹裁判長は、以下のように説諭したという。

 現役裁判官の言葉としてその意味は大きいといわねばならない。

 ところで、平成16年7月に刑事に自白したことを後悔し、気に病んでいるかもしれません。ただ、西山さんがうそをついたからといって、西山さんのせいにすることはできません。

 本質的に問われるべきは捜査手続きのあり方です。自白について慎重なうえにも慎重に検討を重ねるべきでした。(医師の鑑定結果)そのものも慎重に検討されたのか重大な疑義があります。

 逮捕から15年以上経って、初めて開示された証拠もありました。西山さんの取り調べや証拠開示など一つだけでも適切に行われていれば、西山さんが逮捕・起訴されることもなかったかもしれません。

 西山さんとご家族もつらく苦しんだと思います。時間を巻き戻すことはできません。問われるべきは捜査のあり方、裁判のあり方、刑事司法のあり方。大切な問題提起をしていることは間違いありません

 刑事司法にはまだまだ改善する余地があります。刑事司法に携わる関係者が自分のこととして考え、刑事司法の改善に結びつけていかなければならないと思っています。西山さんの15年を無駄にしてはならないと思います。

 今回の再審は、これからの刑事司法をよい方向に変えていく大きな原動力になります。一方で、男性患者のご家族のことを忘れてはならないと思います。

 「一人一人の声を聞いて審理していただきたい」という西山さんの話に驚きました。当たり前のことだと思っていますが、私自身、西山さんの発言を聞いて一人一人の声を聞く重要性を再確認しました

 15年あまり、さぞつらく苦しい思いをしてきたと思います。もう西山さんはうそをつく必要はありません。これまで裁判を通して支えてくれる人に出会ったと思います。これからは自分自身を大切に生きてもらいたいです。今日がその第一歩となることを願っています。

027上告趣意書の提出期限

最高裁から通知が届きました

 最高裁判所より以下の通知が届きました。

 提出期限に向けて趣意書作成を行っていきます。

上告趣意書差出最終日通知書  最高裁判所第一小法廷

 

 本件について、上告趣意書を差し出す最終日が、次のとおり指定されたので、通知します。

 最終日 令和2年5月13日

  担当法廷は、上記のとおり、最高裁判所第一小法廷となりました。

 公には知られていませんが、最高裁は小法廷の裁判官が最初に審理をするのではなく、調査官が書面に目を通し審理が必要と判断した場合に、上席調査官、最高裁裁判官の順に事件が回付されるようです。

 まずは調査官の目に留まる上告趣意書を仕上げることに注力いたします。

 

署名活動

 引き続き請願署名をよろしくお願いいたします。

innocence-story2020.hatenablog.com

innocence-story2020.hatenablog.co

請願署名受入の御礼

請願署名の御依頼

 請願署名にご協力いただき御礼申し上げます。

 個人で署名を呼び掛けてくださっている方、各団体で署名活動にご理解をいただき、署名活動を行ってくださっている方、お時間を割いて下さりありがとうございます。

 皆様の一筆を最高裁判所にしっかりと届けたいと思います。

 4月24日(金)の一次集計まで、ご支援よろしくお願いいたします。

chng.it

 

大崎事件についてー第4次再審請求のクラウドファンディング

  第4次再審請求開始にあたって支援の呼びかけです。第3次再審請求は、地裁・高裁で再審が決まったのにも関わらず、最高裁がまさかの棄却決定。

 サイト内に掲載されている周防監督の言葉は非常に重いものです。

readyfor.jp

 

 日本の刑事裁判で冤罪事件は非常に多く、素人の私が公判経過、判決文を調べるだけでも、

 ・今市事件 ・恵庭OL殺人事件 ・筋弛緩剤点滴事件

などが挙げられます。

 そして、私の弁護人が担当されている「湖東記念病院事件」は、3月末漸く再審無罪が言い渡されようとしています。

innocence-story2020.hatenablog.com

 

 

 

請願署名のお願い

請願署名のお願い

 本ブログをご覧いただき、ありがとうございます。

 2020年3月上旬より、「上告審の公正な裁判を求める請願署名のお願い」と題する書面と署名用紙の配布を開始いたしました。

 請願署名の御支援よろしくお願いいたします。

 

 以下のリンクより事件の詳細を御確認いただくことが可能です。

innocence-story2020.hatenablog.com

 

ネット署名のお願い

chang,orgにてネット署名を行っております。

書面での署名と併せて、ネットへの御署名、シェアをよろしくお願いいたします。

 以下のキャンペーンに賛同をお願いします!「最高裁判所は無罪判決を下してください。」 https://t.co/PiqxCI8iSd @change_jpさんから

 

訂正とお詫び

請願署名の書面(裏面)に以下の誤植がありました。訂正をよろしくお願いいたします。

 

2 裁判所の判断

 裁判所は、

 ・ --- --- ---  --- --- 

 ・ ーーー ーーー 訂正前(Aが「自分が前にいた」ことを・・・)

           訂正後(Aが「自分が後にいた」ことを・・・)

 

その他

請願署名に関するご質問は、上記Twitter内DMをご利用ください。

 

026御依頼と控訴審判決文

支援者の皆様
訪問者の皆様

 以下のURLで、Twitter並びにchange.orgをはじめました。

 引き続き、署名サイトのシェアをよろしくお願いいたします。

innocence-story2020.hatenablog.com

 

  また、高裁判決文について、精査をはじめました。

【N警察官の変遷】

    弁護人は、警察官は、被告人が「Aの股間に右手を押し当てていたかどうかを直接見ることはできませんでした」などと供述していたのに、被告人の手がAの股間部分に位置し、当たったり離れたりしていたと(公判になって突如)証言するのであって、供述は変遷しており、信用できない旨主張する。

 しかし、上記供述は、被告人がAの股間に右手を押し当てていたかどうかを目撃したかについて言及したものであるが、手がAの股間に当たっていたかどうかを目撃したかについては、直接言及していないと見る余地のある表現である。そうすると、警察官の証言の根幹部分の信用性を失うものではない。

【分析】

 不合理極まりない認定である。捜査報告書(署長押印がある公文書)には、「手がAに触れているか否か判然としなかった」と記載されている。しかし、高裁はその証拠を受け取らずに、「採用された証拠に基づかないものである」として、弁護側の主張を排斥している。

 

【被害回数の虚偽申告についての判決文】

 弁護人は、Aが9月までに約20回被害に遭ったというのは虚偽であるし、・・・Aの証言態度は不誠実である旨主張する。

 しかし、回数については、そもそも弁護人の主張するとおりであったかは必ずしも明らかでない上、感覚的なところも、記憶や表現が適切でないこともあり得るから、A証言全体の信用性に影響しないと言うべきである。

【分析】

 弁護人指摘の回数はLINE履歴に基づくもので、検察官も同意している。そして、Aはいつも私と同じ電車に乗り被害に遭ったと言うが、違う電車に乗っていた事実が判明している。同乗の機会は数日しかない。証人尋問で1日1日Aに問いただし、乗っていない日はAが認めている。

 Aは、6月まで10回程度被害に遭った、9月まで20回被害に遭ったと証言すると同時に、6月30日以降、同じ電車に乗っていないことを認めている。6月から9月にかけて10回被害が増えることはあり得ない。自己矛盾供述をしているのである。無い部分を有ったと言っているのである。

 仮に、裁判官のいうように、Aが「感覚的」に証言しているのであれば、適当に被害申告をしている証左であって、その信用性はないというべきであって、原判決の説示に合理性はない。何としてもA証言の信用性を維持しようとする裁判官の意思が垣間見える。

 

【あとを付けられた事件についての判決文】

 弁護人は、Aが被告人から追い掛けられたなどという出来事は、母親への1回目の通話内容(駅のエスカレータ上っているが、後ろに犯人がいる)は、・・・防犯カメラ映像によれば、被告人がAに先行していることに反していることから虚偽であると主張する。

 しかし、母親の警察官調書中のAから通話で聞いた内容は、一言一句正確であったとまではいえない。そして、防犯カメラ映像では、エスカレータでは後ろにい被告人をAが先行かせたため、改札ではAが被告人の後ろを歩いていることも考えられることからすれば、通話内容に反すると言えない。

【コメント】

 まず、母親の供述は調書であり、署名・捺印がなされている上、地裁判決においても否定していない。裁判官が、捜査機関の調書を主観で排斥し、都合のよいように解釈をしている。

 そして、エスカレータで入れ替わったという裁判官の勝手な想像であるが、Aは証人尋問で、弁護人に対し、「エスカレータで犯人は前にいました」と明確に証言している。この証言を恣意的に排除し事実認定を行っている。 そこまでして「有罪」認定をしたいのかと憤りを覚える。

 

 

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