013証人尋問②
2019年2月22日。
捜査責任者Nの証人尋問が行われた。
Aと同様にNは、裁判官の面前で宣誓を行った。
余談であるが、警察官が偽証をした場合、罪に問われにくいと言われている。
一般的に弁護側の証人が偽証を行った場合、罪に問われる傾向にあるが、検察側の証人は問われにくいとされている。
そんな不公平がまかり通っているのが日本の司法だ。
捜査機関は何でも許されているのである。
捜査責任者Nは、現行犯逮捕を目的に私を2日間合計40分間にわたり注視したとされている。しかるに私を現行犯逮捕しなかった。
いったいNは、どのような弁解をするのだろうか。
ある意味予想がつかなかった。
〔主尋問〕
主尋問冒頭、いきなりNは言い放った。
N:同行警乗の際、被告人による犯行を現認しました。
ある意味愕然とした。
この捜査責任者Nは、前掲「009無実の裏付け②」で記したとおり、2018年9月25日作成の捜査報告書で「被疑者の手が被迷惑者の陰部に触れているか否か確認できなかった」、「被疑者の手が被迷惑者の陰部に触れているか否か判然としなかった」の記載を確認し、押印している人物である。
その人物が、尋問冒頭から客観事実と異なる証言をはじめたのである。
しかも、Nは「車内が混雑していたため場所を移ることができず、犯行を現認することができませんでした」と、具体的に供述調書で述べていた。
刑事裁判の原則であるが、核心部分で証言に変遷が見られる場合、その証言の信用性はないと見なされる。
しかし、Nは臆面もなく証言を変遷させたのだ。
日本の警察官は、刑事裁判でこのような横暴を平気で行うのである。
これも検察側の「偽証罪」が名ばかりのものである弊害なのであろう。
本当に信じがたい。
〔反対尋問〕
すかさず、弁護人が反対尋問を行った。
弁:あなたは本当に現認したのですか?
N:はい。
弁:2日間とも、現行犯逮捕を目的だったのですよね?
N:現行犯逮捕を目的に同行警乗しました。
弁:他の警察官も共通認識を持っていたと捉えていいですか?
N:はい。
弁:では、なぜ現行犯逮捕しなかったのですか?
:あなたは犯行を現認したのですよね?
N:はい。
:できれば現行犯逮捕したかったのです。
:しかし、満員電車で現行犯逮捕をすると、被告人を衆人環視に晒してしまうと考えました。
:ですので、被告人の人権に配慮した結果、現行犯逮捕しませんでした。
不合理な弁解にも程がある。
良識のある人であれば誰が聞いてもNの証言は納得できないであろう。
警察官らは、捜査責任者Nの指揮のもとで2日間同行警乗を行った。
仮に1日目に上記のような考えに至ったのであれば、2日目の同行警乗を行う理由はないはずだ。
ましてや、警察官が現行犯逮捕を明確な目的にしながら、かつ、犯行を現認したのにも関わらず実行しないことなどあり得ない。
さらに、関係証拠からは、捜査責任者Nが同行警乗行った警察官のうち2名を私と同じ駅で下車させていることが判明している。
つまり、Nは準現行犯逮捕の手配も行っていたのだ。
仮に、車内での現行犯逮捕が差し支えるのであれば、準現行犯逮捕を行えばいい。
しかし、それも実行されなかった。
捜査責任者Nが、これらの弁解が通じると思っているあたりが恐ろしい。
なお、Nは、警察官2名に私が下車する駅で降りるよう指示したことは一切ないと明言した。しかし、I警察官は、「Nが指示をした」旨を証言している。
ここでもNは偽証しているのである。
準現行犯逮捕をしなかった不合理を隠蔽するためであろう。
弁:しかし、あなたは2日目も同行警乗を行っていますよね?
N:はい。
:今日こそは現行犯逮捕したいと思って同行警乗を行いました。
弁:なぜ、現行犯逮捕しなかったのですか?
N:先ほど申し上げた通り・・・被告人の人権を・・・(略)・・・
Nは、まるで壊れたレコーダーであった。
恐らく、検察官との証人テストで、この弁解を繰り返すよう指示されたのであろう。
証人テストとは、証人尋問前に証人と検察官が行う事前の打ち合わせを指す。
警察官が証人の場合は、数週間前から検察官と念入りに打ち合わせを行うこともあるそうだ。
(一応、証人テスト自体は、日本の刑事裁判では認められている行為である)
他にもこんな遣り取りがあった。
弁:あなたとAの陰部までの距離はどのくらい離れていましたか?
N:数十センチです。
弁:その距離なら完全に触っていると判断できますよね?
N:はい。
:ただ触っているのは分かったのですが、押し込んだとまでは断定できませんでした。
弁:触っていれば、迷惑行為ではないのですか?
弁護人の指摘は的を射ている。
Nがかなり苦し紛れの弁解に終始しているのは明らかだ。
そもそも「被疑者の手が被迷惑者の陰部に触れているか否か確認できなかった」という捜査報告書の記載内容とまったく合致しない。
弁:あなた自身で判断がつかないのであれば、Aの表情は確認しなかったのですか?
N:はい、しませんでした。
(警察官が被害者の表情を酌み取らないことなどあり得ない)
:ただAの陰部付近を注視していました。
Nは、最寄り駅から私が下車するまで、Aの陰部付近を注視して判断がつかなかったと証言した。
仮にそうであるならば、「現認」ではないのであるから、もはや犯罪事実が成立し様がない。
しかも、Aは、2月12日の証人尋問で以下ような証言をしている。
以下のA証言を併せれば、N証言が極めて不合理であることがよくわかる。
弁:警察官に助けを求めなかったの?近くにいたんでしょ?
A:いました。
:警察官は気付いていると思っていました。
:警察官は体で犯人を押してくれたり、自分でも犯人の手を払ったりしました。
弁:犯人はどうしたの?
A:(犯人は)手を払いました。
弁:触るのを止めたの?
A:止めてないです。
Nが確信を持てずに悩んでいた頃、Aによれば「私と警察官、Aの3者の鬩ぎ合い」が行われていたらしい。
仮に、A証言が真実であれば、Nの証言は虚偽であることは明らかだ。
少なくとも、AとNの証言は合致しない。
なお、この「鬩ぎ合い」をしていたとされる警察官は、A証言によればNとは別の人物であると考えられる。
この別の警察官は、上記捜査報告書で「被疑者の手が被迷惑者の陰部に触れているか否か確認できなかった」、「被疑者の手が被迷惑者の陰部に触れているか否か判然としなかった」と記載した人物である。
犯人と「鬩ぎ合い」までしながら、このような報告書を作成するだろうか。
あり得ないことである。
具体的な尋問が続く。
弁:犯行を行っているときの犯人の体勢はどうでしたか?
N:私から見て被告人の体勢は「逆くの字」に見えました。
(???????)
裁:それはどういった体勢ですか?
(さすがに裁判官も驚いたのでろう)
N:言葉では難しいので・・・
:≪突如Nは体で表現をはじめた≫
弁:そこまでしていたら、もう触っているのは明らかですよね?
N証言を前提とすれば、私の犯行を断定し確信を持って現行犯逮捕する機会はたくさんあったはずである。
客観的時間では、1日20分間の時間である。
少なくとも、それ程の時間があるのにも関わらず、かつ、鬩ぎ合いの時間も含めてAがずっと被害に遭っていたのにも関わらず、犯行に及んだか否か迷うことはあり得ない。
この証言を以って、果たして「現認」したことに信用性が認められるだろうか?
さらにNはこんなエピソードを偽証した。
N:電車に乗り込むとき、被告人がAの後ろに割り込み乗車をしてきました。
突如、Nが法廷で証言をしたので、私も弁護人もその場で判断が付かなかった。
のちに開示証拠を精査してみると、
- 警察官らが行った「犯行再現」なるものにおいて、割り込み乗車の記載は一切みられない
- 私の行動を注視ていたF警察官の供述調書において、割り込み乗車の記載は一切みられない
- N自身の供述調書において、割り込み乗車の記載は一切見られない
ことが判明した。
よって、N自身の証言に変遷が見られる上に、他の証言とも合致しないことが明らかになった。
つまり、Nは「Aのみを狙った特殊な犯人である」という警察の見立てに沿うような事柄を偽証したのである。
そのような人物に信用性がないことは明らかであった。
結局のところ、捜査報告書の「被疑者の手が被迷惑者の陰部に触れているか否か確認できなかった」、「被疑者の手が被迷惑者の陰部に触れているか否か判然としなかった」の記載が真実なのだろう。
9月事件につき、A証言しか証拠がないのは明らかであった。
捜査責任者Nの証言は、「証拠」になり得ていないのは明白であった。
さらに、A証言自体にも信用性が認められないのであるから、被疑事実を認定し様がないのである。
検察官は、これで公判を維持していると思っているのだろうか?
次はI警察官の尋問である。
N同様の証言に終始するのであろうか。
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