『冤罪被害者』のブログ 

冤罪被害者の闘いを綴る

謝罪しない滋賀県警

滋賀県警という組織

 先日、湖東記念病院再審で漸く西山さんの無罪が確定した。

 検察が上訴権を放棄し、無駄に2週間待つことなく無罪が確定した。

 

 しかし滋賀県警の対応には驚かされるばかりだ。

 あまりにも驚いたので記事にしておく。

 

 以下、「毎日新聞」(4月18日付配信)より引用する。

 滋賀県東近江市の湖東記念病院の入院患者死亡を巡って県警に逮捕され、殺人罪で服役した元看護助手の西山美香さん(40)が再審(やり直しの裁判)で無罪判決を受けて確定したことについて、県警は滝沢依子本部長が出席する17日の定例記者会見で質問を受け付けないと記者クラブに通告した。

 本部長の定例会見は、毎日新聞を含む新聞やテレビなど報道機関15社が加盟する「県警記者クラブ」の主催で毎月1回開かれ、刑事部長らも出席する。無罪確定後、会見は17日が初めて。クラブ側は7日、大津地裁が3月31日の再審判決で、取り調べをした刑事が西山さんの恋愛感情を利用して「自白」を誘導したり、飲食を提供したりするなど捜査手法に問題があったと認定したことに対する見解や、西山さんへの謝罪、再発防止策などに関する質問を事前に伝えた。

 これに対し、県警広報官室は「個別案件は答えられない」と質問案を拒否。加盟社の意見をとりまとめる幹事社が理由を文書で答えるよう求めたが、県警は4月16日、「文書にする必要がない」として回答を拒んだ。

 再審判決は、西山さんの自白の任意性を否定し「患者が殺害されたという事件性すら証明されていない」と指摘。大西直樹裁判長は説諭で「警察、検察、弁護士、裁判官を含め全ての関係者が自分のこととして、西山さんの(逮捕からの)15年を決して無駄にしてはならない」と述べていた。

 県警は当日、刑事企画課幹部が報道陣の取材に「無罪判決については真摯(しんし)に受け止め、今後の捜査に生かしてまいりたい」とのコメントを繰り返すにとどまった。

 弁護団長を務めた井戸謙一弁護士は「権威ある裁判所から具体的に捜査の不当性を指摘された。どのように改善していくのかを県民に説明するのは警察の義務で、極めて不誠実な対応だ」と話した。【菅健吾】

  謝罪しないどころか、完全に逃げている。

 恐らく、今後民事裁判で賠償が争われるから、「謝罪」できないのであろう。

 この滋賀県警、昨年は、大学生を誤認逮捕(4回再逮捕)し、人生を狂わせている。

 

 反省をしない組織であるから、同じ失敗が繰り返される。

 なぜそこに気づかないのか疑問である。

 

 裁判長が説諭で厳しい批判を述べているが、まったく届いていないのだろう。

 この有様、もっと報道されて然るべきではないか??

 

判決文に記された滋賀県警の捜査

 余談であるが、判決文が裁判例に掲載されていたので、引用しておく。

 これだけの事実がありながら、いままで西山さんの「自白」を信用し、無罪を出さなかった裁判官にも唖然とする。

 本件における防御権侵害や捜査手続の不当・不適切性は,これらを主たる理由として任意性を否定されたこれまでの事案ほどに深刻なものとまではいえないとしても,被告人の特性・恋愛感情やこれに乗じて被告人に対する強い影響力を独占してその供述をコントロールしようとするF警察官の強固な意図と相まって,虚偽供述を誘発するおそれがあるものであったというべきであり,かつ,現に明白な虚偽供述を含む本件自白供述を誘発した疑いが強いというべきである。防御権侵害及び捜査手続の不当・不適切性の有無,程度等の捜査機関側の事情に加え,知的障害・愛着障害等の特性や恋愛感情等,供述者たる被告人側の事情をも含む,上記供述がなされた経緯,過程に関わる諸事情を総合すると,本件自白供述は,実質的にみて,自発的になされたものとはいえず,上記防御権侵害や捜査手続の不当・不適切性によって誘発された疑いが強いというべきであるから,「任意にされたものでない疑」があるというべきである。 なお,F警察官に対する恋愛感情は,少なくとも初期の段階では被告人の自発的な感情であり,Aを殺した旨を初めて述べた時点では,その供述が外形的にも実質的にも自発的になされたものであることは前記のとおりであって,恋愛感情の存在は,それ自体が直ちに任意性を疑わせる事情になるものではない。しかし,F警察官は,被告人が,弁護人との接見後,否認に転じると,被告人の恋愛感情や迎合的な供述態度を熟知しつつ,これに乗じて被告人の供述をコントロールしようとの意図の下で,不当・不適切な手段を用いて,恋愛感情を増進させつつ,他方で弁護人への不信感を醸成させ,被告人に対する影響力を独占し,その供述を誘導,コントロールしようとしたものであって,そのような状況の下でなされた供述は,もはや実質的には,自発的に行われたものとはいえず,不当・不適切な捜査等によって誘発されたものと評価するのが相当であるから,前記認定を左右しない。 

 なお、ここでいう不適切な捜査は、以下のとおりである。

 F警察官が,遅くとも平成16年6月下旬頃までには,被告人の迎合的な態度や自身に対する恋愛感情を認識していたこと,接見等禁止中で弁護人としか接見できない被告人に対し,接見毎にその内容を聞き出した上,弁護人に対する不信感を煽るような言動を繰り返すなどしたこと,その一方で,事件に関する供述以外に,被告人の自身に対する恋愛感情を記載した供述調書を多数作成したり,取調べ中,毎日のように,被告人にジュースを差し入れて飲ませたり,取調べにおいて,本来,立ち会わせるべき女性警察官を取調べ室外に待機させて,被告人と2人きりの状態にし,被告人が自身の手を触ってくるのを黙認したりしたこと等の事情を併せ考慮すれば,F警察官が,逮捕後の取調べを通じて,被告人の特性や恋愛感情に乗じて,被告人に対する強い影響力を独占し,その供述をコントロールして,自白供述を維持させようとする意図を有していたことが推認される。  さらに,F警察官が,起訴後も,被告人に対して幾度も取調べを行ったこと,弁護人や両親との接見を重ね,公判期日において否認をしようと考えていることを知るや,被告人に指示して,公判でも事実を認める旨の検察官宛の手紙等を複数作成させた上,確定第1審の第1回公判期日を傍聴したことなどの本件自白供述以降の事情は,F警察官の被告人に対する影響力を独占し,その供述をコントロールしようとする意図の存在を裏付け,かつ,それが強固なものであったことを示すものといえる。

  このF警察官は、懲戒処分されるべきではないのか。

 少なくとも、捜査にかかる内規違反を犯しているではないか??

 

 世の中コロナの報道で大変であるが、絶対に闇に葬ってはならないと思う。